放射能
放射性物質
放射線
被爆
被曝
残念ながらTV放送はこれらの言葉を間違って使い続けている。
我々も同じだ。
旧友が放射線技師の免許を持つ研究職だった。
彼がゴジラの話をしているときに指摘したのが、ゴジラは放射能なんて吐けない。
ということだった。
放射能とは放射線を出すことができる能力のこと。
能力のことだ。
放射性物質とは放射線を出すことが出来る物質のことだ。
放射線とは放射性物質から放射されるα線、γ線、β線の総称をいい、通常は所謂X線、中性子線なども含める全ての電磁波や粒子線のことをいっている。
もし「ゴジラが放射能を吐く」のであれば、能力を吐くことでなにか起きるのだろうか。
放射性物質を吐くというのであれば話は通る。しかしこれでは文字通り吐かねばなるまいし、それを浴びれば、汚染となる。汚染されれば、それは被害者の体の放射性物質から放射線が発せられることになり、本人もその周りの人々も被曝する。
もしこの能力をコントロールできるとすれば、それはウォッチメンのDr.マンハッタンか。
第一、ゴジラは口から光線のように何かを吐き出しているが、放射線は放射性物質から放射状に放射されるから放射線なわけだ。ここにも誤解がある。
原子は原子核と電子によって構成されるといわれるが、実は原子核は単体ではなく陽子だけ、または陽子と中性子によって構成されている。
湯川秀樹はこの二つの元素との間を取り持つ中間子の存在を理論的に予言した。12年後にパイ中間子が発見されたことにより、ノーベル物理学賞を受賞した。
これらの元素は構成が様々で、主に陽子と中性子の数により原子の個性が決まる。
これを原子核と総称している訳だ。
で、この原子核は正の電荷をもつ。この電荷を打ち消し合うため原子核の周りに負の電荷を持つ電子が集まってくるわけだ。
電子は原子核の近くにいれば、引き合う力が強いので安定的に存在できるが、原子核から距離が遠くなると、外からの力に左右されやすく、離れやすくなってバランスがとれなくなる。そこで他の原子とくっつき合うことによって、電子のバランスをとる。これが分子。
かたや原子核の内部にある陽子と中性子はその構成のみで繋ぎあう。正の電荷をもつもののみの構成により反発し合う力が発生する。これが「斥力」。
中間子はこの斥力を押さえ込む「核力」をもつ。これにより、電磁的アンバランスを内包しつつ原子核は安定している。
希にある特定の原子の特徴を持っているのに原子核内の中性子数が異なる核が存在する。これが「同位体」。
同位体には安定しているものも不安定なものもあり、不安定なものは非常に長い時間をかけながら放射線を放出しつつ崩壊し安定化に向かおうとする。
これが「放射性同位元素」。「ラジオアイソトープ」とも呼ばれる。
実は、この放射性同位元素は自然界にも数多く存在する。
たとえば「便器」にガイガーカウンターを当てると、実は反応する。
便器は放射性同位元素(放射性物質)を含んでいるのだ。
もともと自然界にあるモノなので、取り除きようがない。
原爆は、原子核内のバランスを崩す事により、原子核の分裂を引き出す。
このとき、結合に必要なエネルギーが差分として放出される。このエネルギーを運動エネルギーにする爆発力により破壊力を手に入れる。その際放出される放射線は二次的な被害をもたらす。大量の放射線被曝による生物の体に与える各種ダメージだ。残留する放射性物質による被曝も多くの問題を生む。
原発は、このエネルギーを同様の運動エネルギーに変えることで、物質の抵抗が熱に変換され、水は沸騰し、蒸発し、水蒸気を生む。この蒸気圧の差でタービンを廻し、発電させるわけだ。
放射線は放射状に放射性物質から放射される。これを浴びることを「被曝」という。
曝は「さらす」の意。つまり被曝とは「さらされる」こと。
被爆は爆撃されるということ。
つまり、全く意味が違ってしまうわけだ。
TVのテロップの多くは「被爆」と表示している。
日本中が爆撃の脅威にさらされているだけでなく、
すでに爆撃されたと報道しているわけだ。