(かなりマニアックで好き嫌いあると思います。ご注意を)
ハリーポッターが当たったとき、書店は魔法使いだらけになったが、対抗馬はダレン・シャンぐらいだっただろうか。これもちょっと前に映画化、渡辺謙が団長に扮しており、驚いたものだ。
ダレン・シャンはヴァンプものだったわけだが、これが呼び水になったか。
トワイライトを含めここ数年はヴァンプだらけに思える。
ま、確かに話を作りやすい。
古今東西ヴァンプだらけだ。その基本設定も受け継がれている。
現代ホラーの本家であるスティーブン・キングが75年に「'Salem's Lot」(長編2作目として出版、邦題:呪われた町)を書いたとき、ヴァンプものは完全に風前の灯火だった。
ブラム・ストーカーの「Dracura」以来映画や舞台で引っ張りだこだったVampも80年に渡る再演で疲弊し、マンネリ化によって袋小路に陥っていたのだ。
ところが、キングが現代アメリカの一地方都市に現実感たっぷりなVampを蘇らせた。リアルな商品名、リアルな描写で現実感を投入するのはキング作品の特徴だ。
「クージョ」を読めば分かる。
たかが狂犬病の犬が怖くて、故障した車に閉じ込められた話がなぜあんな長編作品になるのか。なぜベストセラーになったのか。
読者は隣家の不幸、隣家の恐怖を追体験したいのだ。
いつも使っている洗剤、いつも食べている食品、飲んでいるジュースやアルコール。
いつも自分が使用している製品と同じ物に囲まれた隣家の住人の恐怖を、完全な安心・安全の中でどっぷり楽しみたいのだ。
メイン州のSalem's Lot(略称、正式にはジェルーサレムズ・ロット)という小さな町(これ以降の作品に頻繁に登場するキャッスルロック(架空の町)の原型、キャッスルロックはキング作品のプロダクション名にも使用されている)の消滅と愛する者を失い一度はメキシコに逃げた主人公ベンとマークの人生を掛けた復讐劇は、読者の心をわし掴みにし、トビー・フーパー監督により、3時間強のTVドラマになった。(日本では大幅カットされ劇場公開された。完全版はDVDでリリース)(池袋の名画座に夜中観にいった記憶がある)
こうして一気にVampの時代が復活したのだった。
「Interview With the Vampire」(邦題夜明けのヴァンパイア、映画はトム・クルーズとブラピだった。原書'76映画'94)で好評を博したアン・ライスが80's半ばからヴァンパイア・クロニクルと銘打ってシリーズ化し始めたのを皮切りに、様々な媒体でVampものは取り上げられた。スウェーデンのスティーブン・キングと云われるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト作「モールス」(原題Let the Right One In なぜにこの邦題?)もそうだろう。
いわばオリジナルとも言えるブラム・ストーカーの名作「Dracura」も、元を正せばジョーゼフ・シェルダン・レ・ファニュの「Carmilla」を基にしており、特にトランシルヴァニアのドラキュラ城から命からがら逃げ延びた主人公ハーカーの婚約者ミナとその親友ルーシーの話などはまさにカーミラからパクったと思われる。
また、本家キングの「呪われた町」(原題Salem's Lot '75)と、そのリメーク版(オマージュといっている)である小野不由美の「屍鬼」においては、「屍鬼」の基本構想は「呪われた町」を世襲して舞台を完全に日本の山奥の村に置き換え、日本古来の風習や言い伝えなどをがっちり組み込んではいるが、最終的に村人の大多数がヴァンプ化して生き残った人が少数派となり価値観の逆転が起こるという発想は最近3度目の映画化となった「I Am Legend」(原作同名リチャード・マシスン作・邦題:地球最後の男・他)からのパクリだろう。
因みにアン・ライスの作品にも萩尾望都の名作「ポーの一族」の影響が見え隠れしている。「夜明けのヴァンパイア」における、ルイ・レスタト・クロウディアの男2名+少女と言う図式は「ポーの一族」のエドガー・アラン・メリーベルの関係そのものだ。出版の時期も'72から'75が「ポーの一族」。「夜明けの・・・」は出版が'76。何らかの影響がないとはいえまい。ゴシック系サブカルチャーの旗手として名高いアン・ライスが日本のマンガを読んでいないともいえまい。あぁ、ここにも偶然の符合か。アン・ライス女氏も「夜明けの・・・」が処女作だったという。
こうして1872年のカーミラから20年後のドラキュラ、その後現在まで脈々と継がれてきた、この設定のコピーの歴史はさまざまな亜種を生んできたが、それでも基本を逸脱することはなかった。(極東の島国から発信された「ポーの一族」は別)
メイヤーのヴァンプは陽の光に負けないが、これはカーミラで使われた特徴だった。たしかメイヤーは英文科の出身にもかかわらず、ドラキュラなどの古典を含むヴァンプものを読んだことがなかったとインタビューでしゃべっていた。作品中英米文学の名作の数々がモチーフに使用されているにもかかわらず、だ。
でもさ、ヴォルトーリ一族の中にマーカスとかいるんだよね。アンダーワールド(映画、主演ケイト・ヴェッキンセイル)とか観てるね、きっと。(と思ったが、その後、そこら中にマーカスという名のヴァンプが存在するのがわかった。)
う〜む、恐るべし現代英米文学。
いや、世の中の人々がこれだけヴァンプ好きだって事実の方が恐るべし・・・ですか?
それ以前に、そんなの文学じゃないって?
いやいや、みててごらん。ハリーポッターだって、トワイライトだってキングだって、この先何十年も普遍的に残るから。たぶん。
ふんっ。
因みにあみすの卒論は「ポー」、ヴァンプ好きはすでにウン十年。
「夜明けのヴァンパイア」「美青年アルマンの遍歴」、「呪われた町」、「屍鬼」、「ヒストリアン」(エリザベス・コストヴァ作)はハードカバーで所蔵しているし、邦訳されたヴァンパイア・クロニクルズは全巻所蔵。つか、基本ここで出てきた作品は全て手元にある。(あ、ダレン・シャンは手放したかも・・・><)
あ〜向こう側でみんなが引いているのが見えるようだ。(笑)
この記事は、昨日アップの「vamp」を「今年に入ってからのマイブーム」と2分割し、双方加筆訂正したうえでアップし直した物です。

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